2020年07月29日 財政

補足解説③(財政)次世代に残してはいけないのは国債ではなく、「弱い社会経済」だ

動画のスクリプト

以前の財政の動画で、今の日本では、「中長期的な大改革」を含めた新しい政策の財源は、税金ではなく、国債にできると説明しました。それで、このような主張に対しては、「国債が借金であることに変わりはない。次世代に借金を残してはならない」という批判があるかと思われます。しかし結論としては、そのような批判は間違いなのです。

これは財政の動画でお話ししたことでもありますが、そもそも自国通貨建て国債は、「政府が返済できなくなることはあり得ない」という意味で、本質的には「借金」として見なすべきものでありません。そしてそれに加えて、過度なインフレが起きない限り、財政赤字は問題になりませんから、政府が増税する必要があるのは、過度なインフレのリスクがある時だけなのです。つまり次世代の日本でも、過度なインフレが起きない限り、政府は増税する必要はないということです。

そして、ここが非常に重要なポイントなのですが、たとえ過度なインフレのリスクがあるからという理由で、政府が増税をするとしても、それは国民にとって必ずしも最悪な状況ではないということなのです。冷静に考えてみてほしいのですが、そもそもインフレとは、モノやサービスの価格が上がることです。つまりそれは、生産者が価格競争を気にせず、自信をもって価格を上げられるということですから、それだけ需要が強いということなのです。逆に言えば、これまでの日本がデフレや低インフレに苦しんできたということは、それだけ需要が弱かったということで、だからこそ本来、需要をより弱くしてしまう増税をすべきではなかった、ということなのです。要するに、供給と比較して、需要が強くなりすぎると、過度なインフレが起きて、むしろ国民生活が混乱してしまうリスクがあるから、敢えて需要を抑えるという意味で、増税が正当化されるわけです。

つまり次世代の日本において、過度なインフレのリスクがあるために政府が増税をするとしても、それは国民を大いに苦しめるという話ではないのです。とにかく、「国債が借金であることに変わりはないから、次世代に借金を残してはいけない」という主張は間違っています。

ただ念のため、最後にお話ししておきたいのは、過度なインフレも含めて、インフレは内容次第では、やはり国民にとって悪いことだということです。たとえば、政府が国民に対して見境なくお金を給付した結果、多くの国民が、「政府がお金をくれるんだから、もう働かなくていいや」と考えるようになって、日本経済の供給力が弱体化して、それが過度なインフレにつながるとすれば、それは非常にまずいことなのです。なぜなら、そのような状況では、政府が増税するかどうかに関係なく、供給不足が慢性化して、過度なインフレは収まらない可能性もあるからです。だからこそ私たちは、財政支出の拡大は、あくまで「中長期の大改革」のために活用すべきだし、それと同時に、「国家監査院」のような機関も作って、政府が暴走しないように厳しく監視させるべきだと主張しているのです。

まとめると、私たちが次世代に残してはいけないのは、国債ではなくて、「弱い社会経済」なのです。真面目に働いて、価値を生み出している人々が、きちんと報われる社会経済。あるいは全ての国民が、適材適所で能力を最大限に発揮して、生産性が向上し続ける社会経済。こういったものを実現するためにこそ、政府は財政支出を拡大すべきだということです。

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